ノンセクシャルとは?非性愛女性の特徴は?恋愛・結婚は成立する?

恋愛・結婚のこと

LGBTQという言葉が一般的になるほど、性的マイノリティーについての議論が深まる昨今ですが、ノンセクシャルという性的指向についてはまだ認知が深まっているとは言えません。

恋愛感情はあるけれど、他者に対する性欲のないノンセクシャルについてご紹介します。

ノンセクシャルとは?

昨今、セクシュアルマイノリティー(性的少数者)に関する話題がアカデミックの世界だけでなく、一般にも広く議論となっています。アメリカやヨーロッパなど、欧米を中心として世界中で、セクシャルマイノリティーの権利拡大や彼ら・彼女らに対する理解の深まりが主張されています。そして、日本でもここ数年で大きな話題となっています。

有名人の同性愛告白、お茶の水女子大学のトランスジェンダーの男子学生受入れなど、注目の集まるニュースが沢山報道されています。「LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニング)」という、代表的なセクシャルマイノリティーを指す言葉も広く使われるようになっています。

しかし、セクシュアルマイノリティーの種類は、よく知られているLGBTQだけではありません。現在、セクシュアルマイノリティーは学術的に20種類近くの数に分類できると言われています。さらに、その15種類のなかでもさらに細分化して見るべきだとも言われています。また、それらの型に当てはまらないと主張されている方もいます。

そのなかで、今回の記事では、特に「ノンセクシャル(非性愛)」の女性についてご紹介します。日本ではまだまだノンセクシャル・非性愛という性的指向について知られておらず、それゆえに悩んでいる人も多くいます。これを期に、ノンセクシャルの方の特徴や恋愛について、彼女たちの悩みについて知っておきましょう。

ノンセクシャル=非性愛

ノンセクシャルは、日本語では「非性愛」と訳されます。つまり、性的ではない、プラトニックな恋愛感情を持っているということです。ノンセクシャルの人々は、他社に対して性的な欲求を持たない、もしくは性的な接触への欲求がないという特徴を持っています。ノンセクシャルは、「ノンセク」と省略して呼ばれることもあります。

また、ノンセクシャルの方の恋愛対象は、異性だけ、というわけではありません。これは個人個人によって異なりますが、異性愛、同性愛、両性愛、様々な人がいます。また、性自認についても人によって異なります。トランスジェンダーでノンセクシャル、という方もいます。

ノンセクシャルとアセクシャルの相違点

ノンセクシャルと混同されやすいセクシュアリティーとして、「アセクシャル」というものがあります。アセクシャルは、インターネット上では「Aセクシャル」とも呼ばれます。2つの名前はとても似ていますが、別の特徴を持っています。ノンセクシャルは「非性愛」ですが、アセクシュアルは、日本語では「無性愛」と訳されます。

ノンセクシャルとアセクシュアルの人々の違いは、他者に対して恋愛感情を抱くかどうか、ということです。ノンセクシャルの人々は、他者に対し性的欲求を抱くことはありませんが、恋愛感情は抱くことがあります。その一方で、アセクシュアルの人々は、他者に対して恋愛感情も性的欲求も抱きません。

アセクシャルの方は、ときに冷たい人と見られてしまうことがあります。しかし、それは正しくありません。アセクシュアルの男性や女性も、友達や家族に対して、友情や家族愛といった愛情は持っています。単に、異性に対しても同性に対しても恋愛感情がないのです。性的指向がないという特徴を持つセクシュアリティーが、アセクシャルなのです。

ノンセクシャルの診断や治療は可能?

自分はもしかしてノンセクシャルかも、と思っている方もいるかもしれません。特に女性には、自認していなくても、セックスをしてみて実はノンセクシャルだったと気づく、ということもあります。しかし、ノンセクシャル・非性愛に限りませんが、性的指向を病院で診断することは難しいです。また、治療することもできません。

また、そもそもノンセクシャルは病気ではありません。ノンセクシャルは単なる性指向のひとつであって、治療して性的マジョリティのようにできるものではありません。人によっては自然と性的指向が変わっていく人もいますが、基本的にはノンセクシャルは一時的なものや、治療で変えられるものではなく、持って生まれた特性なのです。

ノンセクシャル女性の特徴チェック

この記事を読んでいる方のなかには、自分はノンセクシュアルかも、と感じている方もいるかもしれません。恋愛感情はある分、ノンセクシャルはアセクシャルや同性愛、両性愛と比べ、気づきにくい性的特徴だと言われています。ノンセクシャルを自認するのは、他の人を好きになったときが多いようです。そんなとき、ノンセクシャルは病院で診断をすることは難しいです。

しかし、ノンセクシャルかどうか、自分でチェックすることで確認することはできます。また、自分がノンセクシャルなのか、アセクシュアルなのか、ということもセルフチェックによって確認することができます。実際に、ノンセクシャルの女性の特徴を見てみましょう。

ノンセクシャル女性の特徴①恋愛感情はある

上でも述べたように、ノンセクシャルの女性には、同性や異性に対する恋愛感情はあります。そのため、好きな人はできますし、その人と恋愛をして恋人になることになります。しかし、その相手に対して性的欲求を持つことがありません。ただ、ノンセクシャルの女性が皆、性行為に対し嫌悪感を抱いているわけではありません。

なかには同性や異性の他人とセックスをすることができるノンセクシャル女性やノンセクシャル男性もいるのです。しかし、そのようなノンセクシャルの方でも、セックスをしているときに、他の人のように性的な快感を覚えることはありません。

ノンセクシャル女性の特徴②結婚願望は様々

ノンセクシャルの女性のなかには、結婚したいと思っている人もいます。家庭を持ちたい、一生一緒にいるパートナーがほしい、好きな人とずっと一緒にいたいという感情は、性的欲求がなくても持ちうるものです。一方で、結婚願望のないノンセクシャルの女性もいます。これは、性的マジョリティーの女性もノンセクシャルの女性も同じです。

ノンセクシャル女性に性欲はある?

ノンセクシャルの女性は、他者に対して性的欲求を抱くことがないと説明しました。しかし、ノンセクシャルの女性が全員性欲がないというわけではありません。性的マジョリティーの人々のように、性欲がある人も存在します。しかし、ノンセクシャルの方の性的欲求は、他者に向くことはありません。

そのため、ノンセクシャル、かつ性的欲求を持っている女性は、自分で性処理をすることで、性的欲求の解消をするのです。ノンセクシャルの女性は他者と性行為をすることで性的欲求を解消させることはできません。また、ボディータッチやキスについても、性行為と同じことが言えます。そういった行為が好きな方も、嫌いな方もいます。

周囲にノンセクシャルの女性がいる場合、付き合いのなかで気をつけるべきことがあるか、気になる方もいることでしょう。特徴を理解したところで、何気ない言葉や理解のない行為が相手を傷つけてしまったり、嫌悪感を抱かせてしまったりすることもあります。ノンセクシャルの女性との付き合いにあたり、気をつけるべきことを見ていきましょう。

性的な話を嫌う人も多い

ノンセクシャル・非性愛の女性とひとくちにいっても、性行為や性的な話題に対する感情は人によって様々です。前述したとおり、ノンセクシャルの女性のなかにはセックスをできる人もいます。その一方で、性的な話題をするだけでも嫌だという人もいます。性的な話題や性行為に対し嫌悪感を抱いている女性もいるのです。

また、過去に性的に辛い経験をして、それがトラウマになり非性愛になった女性もいます。性的な話題が平気なノンセクシャルの方もいる一方で、そのような話題をすることで相手を傷つけてしまうこともあります。相手がノンセクシャルの方だと知った場合、そのような話題を絶対に避けなくてはならないというわけではありませんが、不快感を与えうるということを知っておきましょう。

特徴は人によってバラバラ

一口にノンセクシャル、非性愛といっても、その特徴は人によってバラバラです。セックスやボディータッチ、キスに対して、どこまでは好きで何が平気なのか、嫌いなのか、また、生まれつきノンセクシャルなのか何かをきっかけにノンセクシャルになったのか、恋人がほしいのかそうでないのかなど、個人個人によって個性があります。

「ノンセクシャルだから」といって一括りにするのではなく、その人個人として接するのが大切です。これは、ストレートの方であっても、同じことが言えますよね。自分の性について理解してほしいのかどうかは人によりますが、相手にラベルを張ってしまわないように気をつけましょう。

ノンセクシャル女性の悩み

周囲から理解されにくい

日本はアメリカやヨーロッパなどの国々に比べて、ジェンダー意識の広まりが遅れていると言われています。それでも、LGBTQという言葉は広まっていますし、男女平等やLGBTの方への配慮も深まってきています。しかしその一方で、ノンセクシャルやアセクシャルを始めとした、LGBT以外の性的マイノリティーについては、世間ではまだまだ認知や理解が及んでいません。

そのため、ノンセクシャルの女性の中には、家族や友達、そしてパートナーといった周囲の人々に理解されず、悩んでいる人も多いのです。TwitterやFacebookなどのSNS上では、「ノンセクシャルだから結婚しづらいのに、家族に結婚しないことを心配されてストレスがたまる」「性的な話題についていけず、友人からノリが悪いと思われ、浮いてしまった」などの投稿も見られます。

パートナーとの出会いは困難

ノンセクシャルの女性の悩みとして大きく立ちはだかるのが、恋愛上のパートナーを探すことです。恋人に性的行為を求められても応えることができない、パートナーに性的行為を求められ嫌悪感を抱くようになってしまった、ということで恋人との付き合いを続けることができないという経験談が多く見られます。

また、相手がノンセクシャルについて理解してくれず、「性的行為を嫌うのは経験不足のせいだ」などと誤解されることも多いようです。そのため、性行為を強要されたり、拒否することに反発されたり、そういった経験がトラウマになり、安心して他者と付き合うことができない、という方が多いのもノンセクシャルの女性の特徴です。

一緒にいて安心できるパートナー、将来の結婚相手を探そうにも、相手の求めることに応えることができない、ふとしたことで相手に嫌悪感を抱いてしまうなど、性的指向の不一致で分かれることが多いのです。ノンセクシャルの女性の中には、ノンセクシャルの男性と結婚したい、ゲイの男性と友情婚したい、という方もいます。

しかし一方では、女性に比べ、男性のノンセクシャルの方の数は少ないと言われています。そのため、ノンセクシャル男性と結婚したいと思っていてもなかなかパートナーを見つけるのが難しい、という声が見かけられます。ノンセクシャル女性のなかには結婚願望を持っている人も多いですが、現状では難しくなっています。

子供を産めない

特に、セックスなどの性行為に嫌悪感を抱くノンセクシャルの女性の方の悩みとして、子供を産むことができない、ということも挙げられます。いくら自分の子供が欲しい、家庭を持ちたいと思っても、性行為ができず実現できないという辛さを抱えていることが、ノンセクシャルの女性には多いです。また、これは彼女たちの結婚を阻む要因でもあります。

いくら恋人と愛し合っていても、相手は子供を求めているので自分は結婚できない、という悩みを抱えているノンセクシャル女性、自分は将来結婚できないのではないか、と不安に思っているノンセクシャル女性もいます。

ノンセクシャル男性の悩み

ノンセクシャルは、女性だけに当てはまる性的な特徴ではありません。男性のなかにもノンセクシャルの方はいます。一般的に女性より男性の方が性欲は強いと言われますが、それゆえに生まれるノンセクシャルの男性の悩みもあります。特に男性同士のあいだで、ノンセクシャルの理解がないということがストレスになるようです。

例えば、男性同士で会話しているとき、相手が当たり前のように性的な話をしていることに嫌な顔をすると「綺麗売りをしている」と思われてしまう、恋人に愛情を伝えていないと感じられてしまうなど、ノンセクシャルの女性に近い悩みを抱えているようです。

ノンセクシャル女性の結婚観

ノンセクシャル含め性的マイノリティーの方の一部には、「友情結婚」を望む人も多いです。これは、性的・精神的いずれの愛の対象にならない人と、恋人同士ではなく、友達・パートナーとして結婚することを指します。ノンセクシャルではない異性と結婚すると、どうしても性的行為を求められてしまうことがほとんどです。

どんなに愛していても、それでは生涯のパートナーとして一緒にいることができないという人が友情結婚を望んでいるようです。また、家族から結婚するようプレッシャーをかけられたために友情婚をする人もいます。このようなタイプの夫婦は、別居をしていることも多いです。

特に性行為が嫌いなノンセクシャル方のなかには、ノンセクシャルの方同士の結婚、ノンセクシャルの方とアセクシュアルの方の結婚、ノンセクシャルの方と同性愛者の結婚など、性的な目を向けてこない相手との安心できる結婚を望む人は多いのです。最近では、友情結婚専門の結婚相談所も存在しています。

また、ノンセクシャルなど、性的マイノリティに関する言葉がより広く知られている欧米では、ノンセクシャルやアセクシャルの方専用の婚活サービスもあるようです。日本でもそのようなサービスが作られるのを待っている人も、数多くいます。

婚活時にカミングアウトしておくのが妥当

ノンセクシャル女性が恋人を探したり、婚活をしたりするときは、自己紹介のときから、自分が非性愛者だとカミングアウトしておくことが多いようです。そうすることで、付き合った後でのトラブルを回避しやすくなうからです。

ノンセクシャルおすすめ漫画

最後に、非性愛者の方を知ることができる、おすすめの漫画をご紹介します。文字だけではなかなか非性愛者のことを理解できない、という方は、漫画を読んでみましょう。

「桐生先生は恋愛がわからない。」

こちらの漫画では、アセクシャルの漫画家の女性「桐生先生」が主人公となっています。非性愛者ではなく、アセクシャルの女性の漫画ですが、ノンセクシャルの女性を理解するときにも役立つはずです。

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