虚無感とは、生きる意味や自分の存在意義がわからなくなってしまい、何に対してもやる気が出ない、心理状態のことを指します。そしてそれは心の合図です。虚無感の原因をしっかりと理解し、その解消法を知ることで虚無感とうまく付き合っていくための方法をご紹介します。
虚無感の意味を知って原因と解消法を学ぶ
虚無感、という言葉を皆さんご存知でしょうか。人生のふとしたタイミングで虚無感に襲われ、何事もやる気を失ってしまうというのは、誰にでも一度は経験があるのではないでしょうか。 ふと人生について考えた瞬間。みんなと別れて一人になった瞬間。大きな挫折をして絶望した瞬間。様々な場面で心にぽっかり穴が空いたような、虚無感が襲ってきますよね。 虚無感とは一体何なのか、その正体と原因、そして虚無感を解消する方法についてご紹介します。
虚無感の意味とは?
虚無感とは、生きる意味や自分の存在意義がわからなくなってしまい、それに伴い何に対してもやる気が出ない、心理状態のことを指します。 それまでずっと生きがいを持って何かに取り組んできていても、それ自体が果たして意味があるのかと疑問に思ってしまい、生きることを無駄に感じてしまう時、それは虚無感であるといえるでしょう。
虚無感と空虚感
虚無感と似た言葉として、空虚感があります。 虚無感はすべてのものに対して価値を感じない、無駄だと感じる感覚を表しているのに対し、空虚感は中が空っぽという意味で、何かの価値や中身がない状態のことを指します。 人生の意味を感じずに空っぽだと感じるという点で、空虚感は虚無感と同じ意味で用いられることもあります。空虚感は虚無感を内包した表現ということです。 他にも似た意味の言葉として、虚脱感などがあります。
虚無感に襲われるタイミング
人生の中で幾度となく訪れる虚無感ですが、訪れるタイミングは人によって様々です。虚無感に襲われるのがどのような時かを挙げながら、その原因について考えていきましょう。
自分の人生・生きる意味について考えた時
自分の人生について考えた時、虚無感を感じるというのは誰にでもあるのではないでしょうか。 自分は何のために生きているのか。 何を幸せと感じているのか。 なぜいま頑張っているのか。 例えば、あなたが今仕事に一生懸命取り組んでいたとしましょう。結果を出して、出世して、高い給料をもらって、と成功の階段を一歩一歩登るイメージを持って、頑張っていました。 そこでふと、 「その先に何があるのだろう」 と考える時です。 目の前のことを1つ1つこなし、お金と地位を手に入れ、定年まで仕事して、その後はどうなるのだろうと考えます。 自分が頑張ったことは形に残るかもわからない。そもそも形に残ったとしてもいつまで残るかわからない。そもそも自分が積み上げたものなんてまるで意味をなさないだろう。 このように究極的に突き詰めていくと、今自分のしていることの全てが、無駄に感じてしまうような時があるのではないでしょうか。そして生きる意味に悩んだ時、人生に対しての虚無感が生まれます。
目標が達成できなかった時・挫折した時
自分が立てていた目標が達成できなかった時、人は強く虚無感を感じます。 例えば受験勉強を毎日朝から晩まで頑張り、合格を夢見て1年間勉強したのにも関わらず、結果は不合格。そんな時、全てがどうでもよくなってやる気がなくなってしまうことがあります。 目標を達成できた時のことを強くイメージしていると、実際の現実とのギャップ、そして挫折をしたという喪失感で何に対してもやる気が出なくなってしまう、という経験は皆さんにもあるのではないでしょうか。 長く自分の中に据えていた目標を失ったことと、自分が目標を達成できない人間だと感じてしまうことが相まって、無意識のうちに自分には存在意義がないという感覚に陥り、虚無感に襲われてしまいます。
自分が何ら特別な存在ではないと気付いた時
潜在的に人は、自分が特別な存在である、他の人とは違って特別でありたいという欲求を持っています。しかしいざ何かに取り組み周りの人を見てみると、自分よりも優秀で、自分よりも成果を出している人がたくさんいます。 必ずしも1番を取ることが重要というわけではないですが、そんな時人は自分が凡人であると認識し直し、虚無感に襲われることが多いです。モチベーションは下がり、目の前のことに取り組むのに憂鬱感を覚えることもあるでしょう。
失恋した時
好きな人に告白して振られてしまった時や、恋人に別れを告げられた時、思考停止して何も考えることのできない、虚無感を感じる人は多いです。 今までずっと心の支えにしてきたものが失われたり、自分自身が否定された感覚に陥るので、心が不安定になってしまい虚無感に陥ってしまいます。
大切なものを失った時
自分の大切にしていたものを失った時、人は虚無感を感じます。それは先ほどの例にもあったように自分の恋人であったり、また家族や、愛犬を失ったときなども虚無感を感じてしまうでしょう。
楽しいことがあった後
楽しいことがあって充実した時間を過ごしたあと、急にふっと虚無感に襲われることもありますよね。旅行に行って友達や恋人と別れた後を想像して見てください。「さっきまで楽しかったのに、急に静かになったな」と感じた瞬間に襲う虚無感のことです。 人は、楽しいことがあった後に日常に戻ると、猛烈な虚無感を感じることがあります。夢のような時間が終わると、まるで心にぽっかり穴が空いたように、何も考えられなくなることはよくあります。
虚無感に襲われる原因は「無意識な逃避」
これまで虚無感に襲われるのがどんな時か、具体的なシチュエーションを思い浮かべながら見てきましたが、ではその原因とは一体何なのでしょうか。 虚無感に共通する根本的な原因、それは「無意識な逃避」です。
これまで見てきた虚無感の起こるシチュエーションには共通点があります。それは「目を背けたい現実」が目の前にあるということです。 いつか消えてしまうのに生きる意味がない、と感じてしまった時。 自分は目標を達成できない人間なんだと気づいてしまった時。 自分は決して特別な存在ではないと気づいてしまった時。 大切なものを失った時。 明日からまた平凡な毎日、仕事の日々だと現実に引き戻された時。 このような時、人は思考停止状態になることで現実から逃避しようとする心理がはたらきます。そうすることで、自分を傷つけまいとする防衛本能がはたらいた結果であると言えます。
逆に、目の前に広がっている未来がワクワクし、楽しい時を想像してみましょう。例えば、明日から旅行に行く時。仕事がうまくいっていて、新しいプロジェクトを任され波に乗っている時。告白が成功した時。 このような時に虚無感に襲われることはあまりないのではないでしょうか。それは、逃避する必要がないからです。
虚無感は心の悲鳴の合図
先ほども伝えたように、虚無感は自分の心を守るための防衛本能であると考えられます。虚無感そのものは決して悪い心理状態ではないということです。 思考停止せず、全てを受け止めてしまえば、そのストレスで精神が崩壊してしまう可能性もあります。虚無感は自分を苦しめる現実を避けることで、自分が傷つかないように守ってくれているのです。 裏を返せば、虚無感を感じるのはそれだけ自分にストレスがかかっているという「心が悲鳴を上げている合図」にもなります。虚無感に襲われている、と感じる時にはそれを解消することが必要です。
虚無感を解消する方法
虚無感は誰でも感じうるものだからこそ、うまく付き合っていくことが必要です。この心の合図を受け止め、次の一歩を踏み出すためにはどうすれば良いのでしょうか。
目標を持って、それに取り組む
虚無感を感じてしまった時は、何か目標を新たに決めて、それに一心不乱に取り組んでみてはいかがでしょうか。 先ほど目標の意味もわからなくなってしまうという虚無感の症状と矛盾しているようですが、重要なのは目標を立てることそのものではなく「取り組む」ことです。 虚無感は自分が目を背けたい現実から逃がすための心理的作用であると先ほど説明しましたが、心を無にする方法以外で目を背ける方法もあります。それが、何かに取り組むという行為です。
自分の目の前に目標があって、それに一心不乱に取り組んでいる時は、ほかのことを忘れることができますよね。たとえそれが小さな、簡単な目標であっても構いません。何かに取り組んでいるうちに、虚無感から抜け出すことができるかもしれません。 最初は生きるための立派な目標でなくても構わないのです。大切なのは辛い現実から「逃避」できる状態を作り出し、実行することです。逃げるために取り組むというのも、立派な生き方の一つです。
一回とことん脱力して切り替える
一つ目の解消法として、目標を立ててそれに取り組むと言うものをあげましたが、実際にそれがすぐにできれば苦労はしないですよね。 そこで、虚無感を一回受け入れてしまうと言う方法もあります。気が抜けるがままに無為な1日を過ごしてしまうのです。 人は、何かの途中に急に気持ちを切り替えるのが難しく、切り替えにはきっかけを必要とする性質があります。虚無感を感じて動けないからどうにかしなければ、と焦ってもなかなか行動は伴ってきません。
そこで、自分の虚無感に期限を設けるのです。今から2日はとことん脱力する。3日目からは切り替えてまた目標を立てる。そう決めれば、3日目の朝起きた時に期限がきっかけとなって、切り替えやすくなります。 虚無感から逃れよう、逃れようと焦るのではなく、時間を決めて一旦受け入れてしまうのも虚無感とうまく付き合っていくためのポイントです。
自分の今の気持ちを大切にして、今を生きる
世界にとっては自分はちっぽけな存在だ、周りの人にとっては自分は必要とされていないんだ。だから生きる意味はない、と感じることで虚無感に陥ってしまうことは多いと思いますが、あなたが生きているのは世界を上から見るためでも他の人から見られるためでもなく、あなた自身のためです。 自分は必要ないんだと虚無感に陥って生きる意味が見出せなくなったとしても、あなたの心が楽しい、幸せだ、と感じることのできる瞬間があるはずですし、その瞬間を大切に生きることができれば、あなたにとっては幸福な人生になります。 人生の価値を、「自分が過ごした時間あたりにどれほどの幸福を感じられたか」と瞬間瞬間の密度に置き換えるのです。
この考え方の良いところは、生きる意味や目標が明確になくても良いことです。 幸せだと感じた時はそれを目一杯喜び、辛いと思った時にはそれを目一杯悲しむ。生きていく上で起きる様々な波やそれに伴う感情を楽しんでしまうことが、虚無感からの脱出に繋がるのではないでしょうか。 あなた自身が楽しい人生だったと思えるように一歩一歩、ゆっくりでも歩んでいくことこそがあなたの存在意義であり、それは誰にも侵されることのない絶対の権利なのです。
虚無感に襲われた時に立ち直るための名言
虚無感を感じているのはあなただけではありません。虚無感は多くの人が感じるものであり、それによって苦しめられるものです。 虚無感に陥った時、人生に詰まってしまった時に立ち直れるような偉人の名言をご紹介します。
ゲーテの名言
『自分自身を信じてみるだけでいい。きっと、生きる道が見えてくる。』 ドイツの詩人、小説家、劇作家ゲーテの言葉です。 今を大切に、自分がこうだと思った通りに全力で生きることが大事ということです。凹むときはとことん凹んで、虚無感に襲われた時には襲われても、どこかでまた起き上がってまた一歩一歩歩んでいくのです。 あなたの人生を前に進めることができるのはあなただけです。自分の心と向き合いながら、時には立ち止まりながら、自分を信じて、ゆっくりでもいいので、前へと歩みを進めていきましょう。
アインシュタインの名言
『人生とは自転車のようなものだ。倒れないようにするには走らなければならない。』 アインシュタインの言葉です。 自分が凹んでいる時も、ふさぎこんでいる時も、時間は流れていきます。人生が止まることはないので、現実一つ一つとしっかり向き合って行かなければあっという間に人生は過ぎ去っていってしまうでしょう。 そんなはかない人生を生き抜くためには、歩み続ける必要があります。決して一筋縄ではいかなくても、心が辛くても、それを乗り越える方法を考えて、歩みを進めていきましょう。
虚無感を受け止めてしっかり解消しよう
いかがだったでしょうか。虚無感に襲われることは誰にでもあることですが、それはあなたの心の合図です。 無気力になって、何事にもやる気が出ないと感じてしまったら、その心の原因としっかりと向き合って、解消できるようになりましょう。 決して楽ではありませんが、一歩一歩進んでいけばきっとできるはずです。
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