世界には多種多様な人間がいます。その中には決して数は多くなくても、他の人とは異なる能力を持った人々がおり、彼らは多くのものを残していきます。
特に音楽や絵画、造形などの芸術的な分野においては、他人とは違った世界観や能力を持っていないと、自身の世界を表現することは出来ません。こういった、芸術的なものを作り上げられる独特な能力を持つ人々の傾向を「芸術家肌」といいます。
この「芸術家肌」に近い言葉として「天才肌」や「職人肌」があります。似たような使い方をしますが、それぞれの言葉が指す人々はまったく異なった能力を持っています。その違いについてもこの後解説します。
そして、芸術家肌の方々の特徴や強み、その反面の弱みなどを明らかにしていき、そして彼らの能力を十分に発揮できる職業は何かも考えていきましょう。
芸術家肌とは?特徴や性格は?
それではそもそも「芸術家肌」とはいったいどんな意味なのでしょうか。人間の心はとても複雑にできており、理性と感性で物事を捉えたり、判断したりします。理性とは論理的に思考力を使い、物事を客観的に捉えるものです。
そして、感性は自身の感情や感覚で物事を捉えるもので、主観的な傾向が強いことです。そして、芸術家肌の人はこの感性がずば抜けて優れています。そのため、自身の周りの環境や人、物事を感覚的に捉えようとし、自身の見方で判断します。
そこには、根拠や論理的なものは少なく、「なんとなく感じたもの」をそのまま表現しようとします。そして、彼らが見ている世界は彼らにしかわからないものであり、他者には理解できないことがほとんどです。
感情的に、そして感覚的に捉えた世界を形にすることで、自分の世界を外に表現していきます。そのため、そこには自然的なありのままの姿やその人本人の心の様子などがストレートに表現されています。
芸術家肌と天才肌の違い
芸術家肌の人間は世界や物事を主観的にその時の感覚で捉えようとします。そのため、感じ取れるものは一瞬一瞬で形を変えることが多いです。その時に感じていたことと、今感じているものは異なるものになってしまいます。つまり、彼らの持つ感性が強すぎて、また異なる世界を見てしまいます。
そのため、自分の世界に迷い込んでしまい、どのように表現すれば良い迷ってしまうことが多いのです。さらに、彼ら自身の感情によっても世界感が変化するため、いわば気分屋なのです。
しかし、天才肌とは予兆もなく、ひらめきを得たり、独自の感覚で物事をこなすことができる人々のことです。彼らには、鋭い感覚があっても感情で判断しているわけではなく、その時に感じたことをそのまま実行しています。
つまり、自身の感情や周りの変化に惑わされることなく、その一瞬の感覚を信じています。そのため、一切迷うことはありません。
芸術家肌の人間は周りの世界や自身の感情によって惑わされ悩み苦しむことが多いが、天才肌は一瞬の感覚で物事を判断するため迷うことがないのです。
芸術家肌と職人肌の違い
一方で、職人肌との違いはさらに明確です。芸術家肌と職人肌の共通点は、迷い苦しむことが多いことでしょう。芸術家肌については先ほど説明した通りで、自身の感性によって惑わされることで迷ってしまうのです。
しかし、職人肌は経験と規範を何よりも重視しています。長い年月で培ってきた経験から自身の世界を表現したり、物事を捉える傾向があります。そして、その経験から出来上がった規範やルールに従って行動しようとします。
そのため、自らの感情や周りの世界の変化に影響されることはありません。これが大きな違いです。しかし、変化に惑わされない代わりに、今までに得た経験とルールに縛られているので、根拠のないものを信じようとしません。ここは天才肌との違いです。
職人肌の人間にとっては、一定の流れに沿った出来上がった道のりを進むことでこそ、完成されたものを作り続けることができると考えており、伝統と不変なものを大切にしているのです。
これまでのことを簡単にまとめると、芸術家肌は感性、天才肌は感覚、職人肌は経験で物事を捉え、芸術家肌は変化に惑わされ、天才肌は変化などなく、職人肌は変化を拒む、といった特徴がそれぞれに存在しています。
芸術家肌の特徴や強み
強み①感性が鋭い
それでは、彼らの強みですが、非常に独特なものが多いです。まずは、何度も出てきていますが、とにかく感性が鋭いことです。自分の目や耳で感じたことに忠実であり、他の人間が気にも留めないようなことも、敏感に感じ取ることが可能です。
そして、そこで感じ取れるものも、とても豊かなものであり、例えば、一つの絵を見ただけでも、そこからその時の時代背景や作者の心情、さらに深くなると、その絵から音楽や他の色、感情などを読み取れることができます。
感性が鋭い人々が見ている世界は普通の人間が見ている世界よりも、非常ににぎやかで色鮮やかなものです。だからこそ、彼らには他の人にはわからないものが見えているのかもしれません。
強み②ひらめき力が強い
何かを感じた時には、彼らの心の中には様々なひらめきが生まれます。ただし、それは天才肌のような予兆のない爆発的なものではありません。外界や自身の感情からじわーっと大きくなるものです。そのひらめきは時間や状況の変化に応じてどんどんと形を変えていきます。
また、そういったひらめきは頻繁に生まれることも大きな特徴と言えるでしょう。何か自分の感性を刺激するのものと出会えば、そういったものが生まれます。そして、それがどんどんと大きくなり、己の心を満たすような感覚になっていきます。
強み③特殊能力がある
芸術家肌の人々は一つの物事からまったく違った世界で見ることができます。それを可能にするには、それなりの能力を有していることに起因しています。
その一つの能力として「共感覚」が挙げられます。共感覚とは、例えば、ある音を聞くと、その音に対応した色が見えたりするようなことです。つまり、ドの音は黄色、レの音は赤色などというものです。他にも、色を見たら匂いを感じるとか、そういった類のものです。
共感覚以外にも感性が鋭いという特性を持った能力はいくつかあります。芸術家肌の人間はこういった能力を有していることが多いです。
強み④常識にとらわれない
彼らが物事を判断する時に基準となるものは「自分」です。むしろ正確に言えば、「自身の感性」です。そのため、「一般的に考えれば」とか「他の人はこう考えている」などという常識で物事を捉えることは決してありません。
彼らは何よりも己の世界を信じています。他人の考えや常識では、自身の世界を表現することができないのです。なぜなら、まったく違う世界に見えているからです。
強み⑤物事の見方が独特
すなわち、この人たちの見ている風景は常人の物とは全く違うということです。普通の人が見ている物とは違う風景であったり、他の人間には見えていない者が見えていたりします。つまり、同じ世界に生きていても、彼らの頭の中ではまったくの別世界です。
強み⑥こだわりが強い
そして、彼らは他人から意見や常識よりも己の感覚を信じています。そのため、容易に別の意見を取り入れることはありません。「これだ」と決めたことを何が何でも貫こうとします。たとえ、周りの考えか方の方が正しくても関係ありません。
彼らにとっての世界は自分だけのものであり、そこに他人を入れるようなことはありません。ひたすらに「自分」に忠実に生きているのです。
強み⑦集中力がずば抜けている
芸術家肌の人間の最大の強みはその集中力の高さでしょう。彼らが何か一つのことに集中すると時間や体調などを一切気にせずに、己の世界に入り込みます。しかも、その集中力の長さは尋常ではありません。
さらに、文字通り「周りが見えなくなる」レベルになります。誰かに声をかけられようが、周りの状況が騒がしくても、まったく集中が乱されることはありません。
集中が切れるのは、一つの区切りがついたり、最後までやり通して己が満足したときです。それか本当に身体の限界が来たときでしょう。それほど、ずば抜けた集中力を見せる時があるのです。
強み⑧自信と信念を持つ
独自の世界観を持ち、それを表現できることは、そこに己に対する自信と信念を持っていることを意味します。自信がなければ、堂々と己の世界を表現なんかできません。さらに、常識や他人に惑わされないその気持ちの強さには、ゆるぎない信念があります。
彼らにとって、己の世界を表現したり、別の人間とは違ったものが見えることに対して、変えがたい喜びと誇りを持っています。この人々にとって、そういった色鮮やかな風景を見ていることは何よりも楽しいものなのです。
だからこそ、それを疑ったり、否定したりするようなことは絶対しないのです。
強み⑨失敗に強い
そして、彼らは感性や感情に従って行動するため、もちろん失敗することも多いです。他人とは違ったことをしているのだから、それが成功しないこともあるに決まっています。
しかし、彼らにとってそれは当たり前なのです。先ほども説明した通り、独自の風景を見て、それを表現すること自体に喜びを感じています。もし、それを表現しきれなかったり、思い描いたものではなくても、もう一度迷って悩んで表現すれば良いのです。
芸術に失敗は付き物だと自然と理解しています。だからこそ、一度や二度の失敗で挫折することはなく、迷い苦しみながらも、続けていくことになるのです。
強み⑩他人に流されない
どんなに迷ったり、うまくいかなくても、それは己の世界を表現することなので、他人と気持ちや感覚を共有することは不可能です。まったく自分と同じ世界を見ている人間は誰もいません。だからこそ、誰かに頼ることも、他の意見や考え方を取り入れることはないのです。
それは絶対の自信と信念から成るものであり、こだわりなのでしょう。
強み⑪感情表現が豊か
しかし、そんな感性が優れた人は非常に感情表現が豊かです。なぜなら、普段から自身の感情に正直に生きているからです。だから、己の感情を表現する時も惜しみなく素直に外に出します。
だからこそ、ウソをつくことも下手です。楽しい事には素直に笑い、嫌なことには顔をゆがめ、悲しい時には思いっきり涙を流せるのが特徴です。確かに変わっているところも多いですが、実は芸術家肌の人ほど、人間じみた人はいません。
強み⑫生活リズムが自由
感情を刺激する物事は昼夜問わずいきなりきます。そのため、夜中でも、感性がひらめけばお構いなしに行動します。そもそも、常に感情的に行動しているので、一定の決まりやルールに沿った生活を送ることは基本的に不可能です。
そのため、生活リズムが一定になることはなく、いつでも自由に活動することができます。
強み⑬チャレンジ精神旺盛
彼らは思ったことに正直に行動します。そのため、何か新しい事や誰も成功したことのないものでも、「楽しそう」とか「面白そう」と思ったことには後先考えずに挑戦しようとします。リスクや難易度などよりも興味で行動することがほとんどです。
ただし、逆に「つまらない」とか「面白くなさそう」と感性を刺激されないようなものであれば、どんなに大切なものでも、手を出しません。そういった意味では、非常に気分屋なところがあります。
強み⑭好き嫌いがはっきりしている
基本的に基準は己の感覚です。そのため、人や物に対しても周りからの評判などは関係なく、自分には合わないと思えば、すぐに嫌いになります。そして、自分が好きか嫌いかで思ったことで、物事を判断することも多いです。
だから、周りから評判が良い人に対しても「気に食わない」と思えば、その人と仲良くしようとしません。それが、一人だけだったとしても関係ないのです。それは、彼らの心の中で「この人には合わない」と感じたからです。
強み⑮妥協しない
最後の強みは、どんなことに対しても妥協しないという点です。彼らにとって、判断基準はすべて己自身です。いくらウソをついたり、妥協しようとしても判断するのは自分でしかないため、納得いくことができないのです。
その結果、納得のいくまでとことんやらなければ気が済まない状態になります。
芸術家肌の特徴や弱み
弱み①人付き合いが苦手
弱みはまず、人付き合いが苦手であるという点でしょう。どうしても、他人基準や常識で物事を考えることができないため、話が合わなかったり、相性が合わずにトラブルに発展することが多いです。
また、彼らにとって他人の存在はそこまで重要ではないので、積極的に人間関係を作ろうという気持ちがまったくありません。
弱み②独りになりやすい
結果的に、誰とも関係を持たずに、独りぼっちになることがあります。本人はそれでも構わないと思っていますが、もし何か困ったことが起きたり、誰かの協力が必要になる時などに困ることになるでしょう。
弱み③話が支離滅裂になる
話をしていても、気分や感情でいろいろなことを考えているため、いきなり別のことを話し始めたり、他のことに気持ちが移ってしまうことも少なくなく、会話が支離滅裂になりがちです。けれども、本人の頭の中では話は繋がっているところがまた厄介なのですが。
弱み④他人に理解されない
彼らには独特の世界観があるため、それを他人と共有することはほぼ不可能です。そのため、いくら己が見ている世界を表現したり、伝えようとしても、それを完璧に他人が理解することは出来ません。必ずそこには、受け取り側の解釈も入るので、結果的に互いに理解し合えることはほとんどないのです。
弱み⑤感情的になりやすい
厄介な弱みとしては、芸術家肌の人間は感性や感受性がずば抜けて高いため、理性的や客観的な面はそれほど高いとは言えません。そのため、感情的になって人と対応したり、物事を判断したりすることがどうしても多くなります。
芸術家肌の人が向いている職業
彼らに向いている職業はやはり、それぞれの専門的な舞台だと言えます。例えば、画家や音楽家などでしょう。想像力に富んだ人であれば、小説家や映画監督なども良いかもしれません。自身の身体を使って表現できるのであれば、ダンサーや役者などでも活躍できます。
芸術家肌とは?芸術家肌の人の特徴と強み・弱み、向いている職業のまとめ
一見芸術家肌の人間は、変でおかしな人と見られがちです。しかし、彼らは自分に素直であり、とても人間味豊かな人々です。そして、この世界を独自の視点から見渡すことができる羨ましい存在であると言えます。
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