コンフォートゾーンとは、自分が活動していて不安を感じない行動範囲のことです。
コンフォートゾーンを抜け出すと人はより成長することができる一方で、人は変化や挑戦を嫌う性質を持っています。
今回はそんなゾーンを抜け出して成長するための方法をご紹介します。
コンフォートゾーンとは?
コンフォートゾーンとは、自分が活動していて不安を感じない行動範囲のことです。 例えば皆さん、電車に乗って通勤、通学することに不安を感じますか?
恐らく、乗り慣れているほとんどの人が「いいえ」と答えるのではないでしょうか。 電車に乗るという行為に不安を感じなければ、電車に乗るという行為はあなたにとってはコンフォートゾーンの範囲内ということです。
では次に、スカイダイビングをすることを考えた時に不安を感じますか? 恐らく、ほとんどの人が不安を感じるのではないでしょうか。 スカイダイビングをするという行為は、あなたにとってはコンフォートゾーンの範囲外ということです。
このように、人にはそれぞれ、不安を感じることなく行動できる範囲が存在します。 それがその人にとってのコンフォートゾーンです。 やったことのない新しいことに挑戦することを「コンフォートゾーンの外に出る」と表現することがあります。
あなたが最近新しいことに挑戦したときのことを思い出してみてください。 経験がないことを始める不安を心に感じていたのではないでしょうか? その時、あなたはコンフォートゾーンの外にいたということです。
しかし、コンフォートゾーンの外に出ることは私たちにとって非常に大きなメリットがあります。 それは、人はコンフォートゾーンの外で不安や緊張を感じながら活動するときのほうが、より成果を出し、成長することができるからです。 これからコンフォートゾーンに関する興味深い実験と、そこから導き出される人間の成長に関する法則をご紹介します。
コンフォートゾーンの実験とヤーキーズ・ドットソンの法則
コンフォートゾーンに関する実験では、マウスにとある簡単なタスクを行わせました。 まずは全く緊張感のない状態で行わせました。 次に同じタスクを適度な緊張刺激を与えながら行わせると、 マウスは最初の時よりも高い成果を出したのです。
しかしそこからさらに過度な緊張刺激を与えると、 マウスのパフォーマンスは逆に下がりました。 この実験結果から、コンフォートゾーンの少し外、 すなわち適度な緊張感を持っている時に生物のアウトプットが最大になる、ということがわかったのです。
ヤーキーズ・ドットソンの法則
繰り返しになりますが、この実験からわかるように、生き物が最高のパフォーマンスを出すには 安心しきっている状態ではなく、 かといって極度な不安状態でもなく、 適度な緊張状態が一番良いということがわかります。 この法則はヤーキーズ・ドットソンの法則と呼ばれています。 より理解できるように例を一つ出します。これから出す3つの条件の中だとどれが一番集中して勉強できそうでしょうか?
「テストで何点取っても何も起こりません」 「テストで90点以上取ると1000円手に入りますが、下回ると1000円取られます」 「テストで90点以上取ると1億円手に入りますが、下回ると1億円の借金となります」 1つ目だと、全く緊張感がないのでやる気も起きません。 かといって3つ目だと、借金の恐怖で勉強どころじゃなくなってしまいますよね。 一番集中して成果が出しやすいのは2つ目ではないでしょうか。 このように、不安は多すぎても少なすぎてもダメだということです。
人の活動範囲をなす3つのゾーン
先ほどの実験の例からもわかるように、人の活動は 全く不安を感じずに行動できるゾーン(コンフォートゾーン)、 適度な不安を感じながら行動して高い成果が出せるゾーン、 不安が大きすぎて逆にパニックに陥ってしまうゾーン の3種類に分類することができます。 コンフォートゾーンについてはすでにご説明したので、ここからその外側にあたる2つのゾーンについてご説明します。
ラーニングゾーン
ラーニングゾーンとは、コンフォートゾーンの少し外側、すなわち活動に適度な緊張感と不安を感じるゾーンのことを指します。 先ほどの実験からもわかるように、ラーニングゾーンで人は一番高い成果を出すことができます。 勉強の際にも、自分にとって少し難しいくらいの問題を解くときが一番集中して取り組めますよね。
パニックゾーン
パニックゾーンとは、ラーニングゾーンのさらに外側、すなわち不安と緊張が極度に大きいゾーンのことを指します。 このゾーンでは、人はパニックに陥ってしまい、高いパフォーマンスが出せなくなってしまいます。 水に顔をつけれるようになったからといって、いきなり25メートル泳ぐようなものですね。
なぜ人はコンフォートゾーンに留まるのか
これまでの話を踏まえると、ラーニングゾーンで適度な緊張感を持って色々と挑戦すれば、人はより高い成果を出せそうですよね。 しかし、実際は中々そうはいきません。 人は、なるべく安心するコンフォートゾーンの中にいようとする性質を持っています。
実際、人は活動時間の90%以上をコンフォートゾーンの中で過ごします。 あなたの日常を思い出してみてください。 仕事では転職すべきだと思ってもなかなか踏み切れないですし、 恋愛では好きない人がいてもなかなか思いを伝えられずにいるなんてことはよくありますよね。
人はなぜコンフォートゾーンに留まりがちなのでしょうか。実はそこには、生き物としての本能が潜んでいるのです。
留まろうとするのは生存本能
人は根本的に変化を嫌い、いつも通りの行動をしようとします。 具体的に毎日の生活で説明すると、自分がやったことのないことを始める時には大きな不安が伴うので、そのリスクを取るよりは毎日同じように慣れた活動をし続ける、ということです。 これは、親しみ慣れている行動や同じことを繰り返している方が、危険に晒されにくいという生物としての生存本能から来ているものです。
自然界でも、どんな天敵が潜んでいるかわからない新しい土地に移り住むよりも、住み慣れた場所にとどまり続ける方が生き延びやすいですよね? 人が変化を嫌い現状に甘んじようとするこの心理効果を現状維持バイアスともいいます。 この現状維持バイアスがはたらくことで、人はコンフォートゾーンから出ることに強いためらいを感じてしまうのです。
コンフォートゾーンから抜け出して成長するためには?
しかし、いつまでもコンフォートゾーンにとどまっていては成長はできませんよね。 コンフォートゾーンを抜け出して挑戦することができるようになれば、今より様々な成果が出せるようになります。 さらに加えて、挑戦はなんとコンフォートゾーンを広げる効果も持っています。
やっていて不安になるような行動も、続けて取り組んでいれば、徐々に慣れて不安は無くなっていきますよね。 つまり、挑戦を続ければラーニングゾーンをコンフォートゾーンに変えることもできるのです。 そしてコンフォートゾーンを広げることができれば、さらに高みを目指して挑戦することができます。
このように、コンフォートゾーンを抜け出して挑戦することは高い成果が出るだけでなく、自分の成長に繋がります。自分の人生を大きく変えることもできるでしょう。 では、一体どのようにしてコンフォートゾーンを抜け出せばいいのでしょうか?
一般的に言われるのは「新しいことを始める」などということです。 しかし、それができないから困っているわけであって、これをただ鵜呑みにしていても 「コミュニケーションが苦手だから明日からは積極的に人に話しかけよう!」 と目標を立てて、実行できずに終わってしまうのがオチではないでしょうか。 一番重要なのは、自分にもできる「挑戦の仕方」を考えることです。 これから具体的にその方法をご紹介します。
今挑戦しようとしていることのハードルを下げる
一つ重要なポイントとして押さえておきたいのは、人によって許容できる「不安」の度合いは異なるということです。 不安が大きくも挑戦できる、という人はそもそも悩んでいませんよね。
これを読んでいるのは、不安を許容するのが特に苦手な方々のはずです。 今何か目標を立てて挑戦しようとしていて、でもやはり不安がある…という時には、その目標を段階に分けて、ハードルを下げることが重要です。
例えば「コミュニケーションに自信がないので人に話しかけよう」という目標を立てたとしても、実際に声をかけるのには怖気付いてしまいますよね。 こんな時は、まず「人に何かを聞かれたらいつもの1.5倍くらいの量を返す」としてみてはいかがでしょうか。 え、それだけ?と思った方もいるかもしれません。それでいいのです。
いきなり大きな不安のハードルを飛び越えられる人もいれば、小さいものから少しずつしか飛べない人だっています。 大きなハードルを設定しても、その挑戦はあなたにとってはパニックゾーンの可能性もあります。 「これなら自分にでもできそうだ」と感じることのできる、自分にあった高さのハードルを設定することが重要です。 目標設定の時に周りと比べる必要はありません。
周りにとって当たり前であっても、あなたが不安を感じるものであればそれは立派な挑戦です。 一つ目のハードルが飛べたら、徐々に高くしていけばいいのです。
まず相手の質問にちゃんと受け答えができるようになって、 次に人と普通に会話できるようになって、 そして会話の中で自然に笑えるようになって、 そのあとに自分から話しかければいいのです。 周りに合わせず、自分に合った目標を設定しましょう。
不安と同じくらいワクワクを感じることに挑戦する
先ほどの方法は、不安を小さくすることで自分でも挑めるようにする、というものでした。 この他にも、不安自体を小さくしなくても挑戦しやすくする方法があります。 それは、不安と同じかそれ以上「わくわく」することに取り組むことです。
コンフォートゾーンを抜け出す努力というのは、決して「ただ不安を感じることをしよう」と言っているわけではありません。 重要なのは自分が一歩を踏み出すモチベーションをもつことです。
例えば「人に話しかける」という目標であっても、自分と同じ趣味を持っている人を見つけて話しかけるのです。 話しかけるのは不安でも、自分の熱中しているものを人と共有できることを考えるとワクワクしますよね。
ただ顔の怖い上司に話しかけてみよう、と思うよりもよほど挑みやすくなると思います。 このように、自分がその行為をしたいと強く思うモチベーションを持つことは、朝鮮の不安を受け入れる方法の一つです。
人と一緒に挑戦する
三つ目の方法は、周りの人と一緒に挑戦することです。 実はこれはコンフォートゾーンを出て挑戦するにはかなり有効です。 同じ不安でも、複数人で共有すれば受け入れやすくなるからです。 自分が不安と感じた時に手助けをしてくれる人が横にいれば、人は挑戦しやすくなります。
そして人は誰かと一緒に挑戦すると、自分一人の時に比べてその挑戦を放棄しにくくなります。 これは逃げ道を断つようなでもありますが、一緒に挑戦してくれる人がいることで挑戦のハードルが下がるのであれば、挑戦したいけどコンフォートゾーンを出られないそんなあなたにぴったりではないでしょうか。
小さな挑戦を積み重ねてセルフイメージを変える
ここまで様々な挑戦の方法を紹介しましたが、最後に一番重要なことをご説明します。 それは、「自分は挑戦できる」というセルフイメージを持つことです。 挑戦ができない人は、そもそも「挑戦」という言葉そのものに対して不安を抱いている人が多いです。
本当は自分の能力で挑めるようなことであっても、挑まないという人もいます。 だからこそ、小さな挑戦を積み重ねて、挑戦するという行為に慣れるのです。 挑戦することが自分の中で普通になり、不安を受け入れる癖をつけることができれば、 そこからどんどん大きな挑戦に踏み出すことができます。 そうなるために、まずは小さな挑戦こそ積み重ねていくのです。
コンフォートゾーンの外に出て成長を掴もう
コンフォートゾーンと人の心理、そして挑戦して成長するための方法についてご説明しましたが、いかがだったでしょうか。 何度も繰り返しますが、挑戦の尺度は人それぞれです。 今のネット社会では、大きな挑戦をして成功した人が目に留まると思います。 それを見て、自分の頑張りがちっぽけに思えることもあるかもしれません。
ですが、あなたはあなたです。 小さな一歩からで構いません。 自分に合った挑戦の仕方、不安との戦い方を考え、一歩を踏み出してみてください。 そして挑戦して小さな成功体験を積んでいって、「自分は挑戦できるんだ」と思えるようになれば、道は拓けます。 長くなりましたが、読者の皆さんの挑戦の一助にこの記事がなれば幸いです。
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